「災難だったな、芳樹。」

陽介おじさんが笑う。


「うん・・・死ぬのかって
思ったよ。怖いよ、まだ…」


「そうだろうな。
なかなか経験できないからな~
ちゅーか何年ぶりだ?
なんだかまた一段といい男になって
頭もさっぱりだな。
油のって、うらやましいぞ。」


「ただの坊主頭だよ。」

              
陽介おじさんが
肩に手をのせた。


「おまえの自信で
あの子救ってやれ。
おなかの子供は、もう
7か月目に入る・・・・
子供を産まないことには
強い薬も使えない。
何より精神的に参ってて
そうだと思うけど・・・
憎い男の子供だから・・・・
でもさ子供に罪はないんだ。」



「俺もどうしていいのか。
奈楠だけならどんなことしても
俺が救いたい。
でも子供は…………
正直……」


「わかるぞ。」



「俺ってひどい人間だろ?
子供に罪はないのに
奈楠にもないのに
どうしていいのか
今の奈楠の現状を受け入れる
器の広い人間じゃないから…」


俺は辛くて
心が痛くて
どうしていいのかわからなかった。