林はドカドカあがりこんできた。



「ちょっと!!」
妻のあわてる声。


「じいさん、線香あげにきて…やった。」


そう言って立ち上がった俺と
目を合わせた。



「おまえ・・・」



俺は林の腕をつかんだ。



「奈楠はどうしてるんだ!?」


「そんな女いないぞ。
俺は妻の有紗と暮らしてるからな。」
不敵で挑戦的だった。



「鬼・・・・・」
妻がつぶやいた。



その言葉に奈楠が置かれている
状況が想像できるように


「妻だと?」

憎しみがメラメラと燃えあがる。


「嘘だと思うなら
会ってみるか?」


思いもかけない
言葉に俺は動揺した。



「俺の有紗だ。」




「有紗は、死んだだろう?
頭おかしいぞ?
奈楠は子供なんだぞ?」


叔父も叫ぶ


「有紗・・・だよ。」



遺影を見て
にやりと笑う。