車で歩来が送ってくれた。

「楽しいお酒だったな。」


「ほんと、パパとは
お笑い芸人みたいだもん。」


「なつかしいな~
あいつのこと大嫌いで
あいつのことめちゃくちゃにするのが
俺の楽しみだった。」


「屈折してたからね~
あなたたちは~」


「俺はさ、どうしても後悔したくない。
愛する女から手を引きたくない。」


歩来が一瞬俺の顔を見た。


「お前の幸せを願って
素良に託したけど
間違ってないのはわかってても
いつもいつも心が痛かった。
幸せそうなお前と
素良を見ながら
いつも素良を俺に変えてみていた。
だから奈楠も同じ気持ちだと思う。
俺の幸せと言いながら
きっと悲しい想いをしている。
俺と四季が結ばれるのを
望んでなんかいないんだよ。
それはお前を手放した俺が
一番わかるんだ。
もう間違いたくない。
奈楠を愛してるから・・・・・・」



「あなたには幸せになってほしい。
ただ、奈楠ちゃんとの幸せの下には
身をひいた四季さんがいること
忘れないであげてね。」



「その現実だけは
つらい・・・。
幸せになるには
痛みが伴うんだよな。」



「その気持ちって私の気持ちよ。」



一瞬考えた。