~天使はふたたび舞い降りる~

「父は今入院してるけど。」


「そうですか。
奈楠から連絡はないですよね?」



「…ないけど。」



「自分転勤になるんです。
何かあれば、ここに連絡が欲しい
のですが。」


名刺に書いた携帯の番号を
指さした。



「奈楠のことで
何かあれば僕が対処しますから
どうかなんでも連絡ください。」



奥から妻が出てきたので
俺は頭を下げた。




「奈楠のことならなんでも
連絡が欲しいんだって。」




「そうなんです。
ここに連絡ください。
よろしくおねがいします。」



俺は得意のきめがおで妻に
近づいていった。




妻は目を白黒させていた。


「あなた……」
妻は夫を振り返る。