「月命日だから、寄ってみました。」


「うれしいわ。
午前中からずっとお参りに
みんな来てくれて
お休みなのにありがとうね。」


そう言って
リビングに入ってきた。


俺は
突然の四季との再会に
少し慌ててしまっていた。



「よし・・・」


四季が美しい花を抱えて
立ち尽くしていた。


「ひさしぶりだね。」

平静を装い挨拶した。


「お知り合いなの?
なんだか優が呼んだみたいね~」
何も知らない母親は笑った。


四季は長い髪の毛を束ねて
また一段と美しく
なったような気がした。



遺影を見つめて
四季はしばらく座っていた。



帰ろうとした俺を
中村の母が

「美味しいお菓子があるから
一緒に食べましょう。」
と無邪気に言った。


「いえいえ、そんな僕は・・・」


「いいじゃない、
知り合いなんでしょ?
だって、こんな素敵な人となかなか
お茶なんて飲めないから。
モテるでしょ?
うちの優もすごくモテたのよ~
なんだか
ごめんなさい・・・
あなたを見てると不思議に
優を見てるようで・・・ね?
四季ちゃん?」

四季が困ったように笑った。