「有紗・・・
死ぬなよ・・・・死ぬな・・・」



林がそうつぶやく。
以前の林にはない・・・
なにか違う何かが

最近わかった。


 死だ・・・・



私の病気を知り
死と隣わせなのを知り
林の精神はおかしくなったのだ。



母を失った時
それも裏切りという形で
死んでいった母を


林は必死に愛していた。

屈折しているが
林は、母を愛していた。


だから私の死のことで
林が必死に私を生かそうとするのは


母に似ているという私を
失いたくないから


母を二度と失いたくないという
恐怖のあらわれなのではないか




裏切った母を心の底に隠した林は
私を母に仕立てて


生きていくつもりだ。



林は奈楠ではなく


有紗として私を見ている。




私はこの街でいつまで
母の代わりに
生きていけばいいんだろう・・・・