その時電話が鳴った。


「よし・・・」
奈楠がいいかけたが
俺は電話をとった。                                                                                                                          

「もしもし・」


「佐川さんか?」
聞き覚えのあるかすれた声に

背筋が凍った。



「うちの奈楠が世話になってる
みたいだね~
なんのつながりもないのに
悪いね。」


「いえ。好きでやってるので
お気遣いなく。」


「じいさんが
奈楠が病気だっていってたけど
わが娘、なんの病気だ。」



「もう治りました。
なんの用で?」


俺も冷たく言い放った。



「娘に会いたいって思ってさ。
電話代わってくれ。」



俺は奈楠を見た。



奈楠は耳をふさいで
首を大きく振った。