退院の日


奈楠は亜恋からプレゼントされた
グレーのスパンコールで
飾られた帽子をかぶって
待っていた。


「マスク忘れるな~」


「はい、はい~」


「外は寒いからカゼの予防を
しっかりすることって
先生に言われたろう?
しばらくは外には行けないからな。」


「病院出られるなら
どこでも天国だもん~」




奈楠の明るい笑顔は
輝いていた。




ベットを片づけて
病室を出ようとしたとき



「間に合った~~~!!」


亜恋が飛び込んできた。



「うわ~~!!」
奈楠が叫んだ。



きれいな花束を抱えて
亜恋が息をきらしていた。