「亜恋・・・大丈夫?」

「ごめんね・・・奈楠・・・」

「うちら、親友でしょう?
聞いてあげるから・・・・」


「ユウくんのまえでは
泣けないから・・・・
一人になっても泣かないの。
泣いたら彼を苦しめるから
私は明るく笑うんだ・・・・
でも・・・辛いの
本当は・・・限界なの・・・」



中村の最期の時が
近づいていることを
亜恋は泣いている。

いつかの自分と重ね合わせて

俺は胸が痛んだ。


「かわいそうな亜恋・・・
ここでいっぱい泣いて行って。
そして彼の前では
明るい亜恋でいなくっちゃ。
ね?芳樹?」


奈楠は、俺の気持ちに
気づいたのだろうか・・・・


寂しそうに微笑んだ。



亜恋を送って行くように
奈楠が言った。


「大丈夫ですから、
芳樹さんは、ここにいてあげて。」

恐縮する亜恋に
奈楠が

「同じ気持ちを知ってる人と
話したらきっと
もっと楽になれるから・・・
ね?お願い、芳樹・・・・
亜恋の心もっと聞いてあげて・・・
私には全部言えないでしょう?」


「やだ・・・
私自分のことばっかりで
奈楠の気持ち考えないで・・・
甘えてしまった。」


亜恋はうなだれた。


「親友だよ!!
話してくれてうれしいよ。
なんとかしたいから
芳樹に話してほしいの・・・・
亜恋の今は
未来の芳樹の姿でもあるかも
知れない・・・・・」