次の日も
奈楠は、俺に気づくと
病室の白い壁をじっと見つめている。


一方通行の会話をして
また家路についた。

息がつまりそうな
空間が苦痛だった。

くだらない話しかできない


そんな話だって
尽きてしまう・・・・



気の利いた言葉も
かけられない俺に
奈楠が心を開くわけもなく

奈楠は白い壁に
穴があくくらい
だまって睨みつけていた・・・



「壁も気の毒だな
奈楠の眼力で
穴があきそうだ・・・・」

思わずぼやいた言葉に
奈楠が
久しぶりに
クスッと笑った。



思いがけずに
見せた笑顔が
嬉しかった。


「おまえの笑顔
さいこーにかわいいから
久々に見れて
うれしいな~」


奈楠は布団をすっぽり
かぶった。