俺の心の中には
四季の存在が大きくなっていた。


「よしにー!」
奈楠が駆け寄ってきた。

「おめでと」

「ありがと」

奈楠は嬉しそうだった。

そこに四季がやってきた。

「林さん、おめでとう。
卒業後の進路を早く見つけて
希望を持って進んでくださいね。」

「はい・・・・」
そっけない様子

「きちんと先生に
挨拶しなさい、奈楠。」
俺は少し厳しい口調で言った。

奈楠は少し驚いた顔をして
「お世話になりました。」

と頭をぺコっとさげた。

「こら・・・
すみません。
いろいろありがとうございました。」

「いいえ。
何もしてあげられなくて・・・・
ごめんなさい。」

四季が髪の毛につけていた
かんざしを落とした。

俺はそれを拾って
髪の毛にまたつけてやった。


耳元で
「キレイだよ。」
とささやいた。

「ありがと・・・・」
四季は満面の笑みだった。


俺もうれしくなって
しばらく見つめあった。