奈楠の呼吸が寝息に変わった。


  やけどの痕が残らなくてよかった。

あどけない寝顔の妹は
俺と暮らすまで
孤独だったことを知った。


まだ話せないことが
きっとあるんだろう。
今はそっとしてやろう。


裸の奈楠と肌を合わせたとき
自分を理性で抑えた。
一瞬
自分が獣に感じて
恐ろしくなった。


自分を信じて身を任せている奈楠を
一瞬でもそんな目でみた
自分を強烈に恥じた。


  ごめんな・・・・


  おまえは真っ白な天使だよ・・・・



死にたい
そう思った奈楠が可哀相だった



俺は
俺だけは
あいつにはまっすぐ生きている
手本でありたい。



奈楠の寝顔に誓った。


  俺は兄でありたい



  家族でありたい・・・・・



髪を撫ぜながら
奈楠には一生兄として
やっていこう

そう決心した。