奈楠が俺を見上げた。
顔つきが女に変わったように
見えて
俺はぞくっとした。


「もう寒くないか?」

「うん」

俺は奈楠に慌てて上着を着せて
自分も着ていたら

「このままでいて・・・」

小さくかすれる声で
奈楠が訴えた。


「わかったよ」
とりあえず上着だけは着ないと

急に慌てた。






またベットにもぐりこんで
不安そうに見上げる
奈楠をさっきのように
抱きしめた。



「ずっと会いたかった・・・・
会えたら
おかあさんのところに
行こう
そう思って
男の子を捜した。」



そして俺の頬に
奈楠の指が触れた。


「こっちに来た時
私はあなたに何度も会いに行った。
声はかけれなかった。
私はまだ小学生で
あなたが大人に思えたから
怖くて
足が前に出なかった。
王子様に拒否されることだけは
されたくなかった。
私の腐った人生の中で
あなただけが光だった。」


あなたと呼ばれた響きが
奈楠は妹の領域から出てしまったように
感じた。



「眠り姫の毎日は地獄だった。
そしてやがて
その地獄が恐怖なった。
私が大人に近づく頃に・・・・・」


奈楠の白い顔が
青白く見えた。