「昔の写真ってなんもなくて
学校で使う時
本当に困った・・・・
先生に事情を話したら
目を丸くした。
それをたまに逃げ帰ると
泊めてくれる
お母さんの爺ちゃんに話したら
一枚だけ
あるぞって・・・・」

奈楠の悪寒はおさまっていた。


「それは1歳頃の私を抱く
みた事のない男の子と写った写真。
私はその貴重な写真をたくさんコピーした。」


俺は静かに頭を撫ぜた。

「爺ちゃんが、この頃は
まだアイツもまともだったって・・・・
私はその写真を見ながら
満面の笑顔の二人が
幸せそうでうれしかった。
私にも幸せな時があった
って・・・・」


「それは俺もだよ。
小さかったけど奈楠のこと
俺はすごく覚えてる。
突然いなくなってずっとトラウマになった。」



「子供って親を選べない・・・
生まれてきた世界を憎む毎日に
一つだけ希望が見えた。
この写真の男の子に会いたいって」



「俺も会いたいって思ってた。」


「でも探してくれなかった・・・
この王子様がきっと
私を助けに来てくれる
私は地獄の眠り姫
王子様がきっといつか
この地獄から外に連れていって
くれること
空想しながら
生きてきた・・・・・」