姉弟道

「私、樫野すみれ(カシノスミレ)」

日本人形が自分の名前を言った。

はいはい、それで?

「野球部のマネージャーだった」

日本人形はそう言った。

樫野すみれって、誰だっけ?

そう思ったのと同時に、俺はその名前を思い出した。

「あー!」

俺の叫び声は、甲子園のサイレンみたいだっただろう。

あちこちのテーブルからいろいろなものを吹き出す音が聞こえた。

思い出した、日本人形――じゃない、樫野すみれは高校時代の同級生で、俺が所属していた野球部のマネージャーだった女だ。

俺、完全に彼女のことを忘れていました…。