「何が?」

俺がそう聞くと、
「例の先生と」

アズにぃが答えた。

「別に」

俺がそう答えると、アズにぃはそうと返事をしただけだった。

「アズにぃはリコ姉ちゃんとどうなの?」

俺の質問に、
「俺?」

アズにぃが聞き返してきた。

どう考えてもこの場にいるのはあんたしかいないんだけど。

「どうなの?」

問いつめるように聞いた俺に、
「相変わらず」

アズにぃは答えた。

あの様子じゃそうだろうな、未だに顔をあわせるとケンカばっかりである。

「言わねーの?」

そう言ったアズにぃに、
「何を?」

彼の言っている意味がわからなくて、俺は聞き返した。

「…愛のコトバ」

呟くように返したアズにぃに、彼があえて主語を言わなかったのがわかった。