声のした方向に視線を向けると、胸のところで腕を組んだリコ姉ちゃんが立っていた。

その隣には、携帯電話を開いたり閉じたりしているアズにぃがいる。

「一体何なんですか!?」

髪をかきあげながらリコ姉ちゃんが言った。

「さっきから黙って聞いていれば近所迷惑なんですよ!」

リコ姉ちゃんが俺たちに向かって怒鳴った

「それに何をやってるんですか!?」

織田さんに視線を向けると、リコ姉ちゃんが言った。

「先生にも弟にも、何を思ってストーカーみたいなことをしてるんですか!?」

あまりの剣幕で怒鳴るリコ姉ちゃんに、織田さんは反省したようにうつむくとその場から逃げ出した。

「待ってください!

話はまだ…」

追いかけようとするリコ姉ちゃんの肩を、
「もういいです」

石楠花先生がつかんだ。

「後は私が何とか話をつけます」

独り言みたいにそう言うと、彼女はつかんでいた手を離した。