「つきあってると思ったのは織田くんの方よ!

私はそんなことを一言も言ってないわ!」

「結婚するつもりだったんだ」

「そんなこと、知らないわ!」

「でも…」

「とにかく、私はあなたとつきあった覚えなんてないわ!」

「じゃあ、僕のことは遊びだったのか!?」

「遊びも何も、あなたとつきあったことなんて1度もないわ!」

氷水よりも冷たい声で言い放った石楠花先生に、俺の背筋がゾッと震えた。

彼女は怒らせると怖いタイプみたいだ。

「涼蘭」

織田さんが石楠花先生の腕をつかもうとしたら、
「さわらないでよ!」

石楠花先生はその手を振り払った。

「でも…」

「いい加減にしてください!」

この場が静まり返るような大声が響いた。