姉弟道

「だからって、殴ることなんてないでしょ!?」

両手で頭を押さえて、涙目でリコ姉ちゃんが訴えてきた。

その様子に、俺はつい手を出してしまったことを反省した。

「そんなことよりも、今はケンカしてる場合じゃないでしょ!?」

ごもっともな発言だった。

何故だか、俺たちの間に沈黙が流れた。

先に破ったのは俺の方からだった。

「悪ィ、頭を冷やしてくる」

俺はリコ姉ちゃんから離れた。

部屋を出た瞬間、リコ姉ちゃんのすすり泣く声が聞こえた。

何でリコ姉ちゃんに八つ当たりをしてるんだよ…。

リコ姉ちゃんは心配してくれただけであって、何も悪くない。

俺は息を吐くと、廊下を歩いた。