その日の夜、俺は洗ったばかりのハンカチを物干し竿にかけた。

何でかよくわからないけど、ハンカチはリコ姉ちゃんに洗って欲しくなかった。

洗うくらいならリコ姉ちゃんに任せればいいのに、何故だか自分で洗った方がいいと思った。

自分で洗って、自分で直接返した方がいいと思った。

「何してんだよ、俺」

竿にかけたハンカチを見ながら俺は呟いた。

俺の心境なんかまるで知らないと言うように、ハンカチは風に吹かれて揺れていた。

バカじゃないのかと、俺は思った。

何で1人の女性のために、ハンカチのために、こんなにも尽くそうとしているんだ?

「俺、すっげーバカ」

「何が?」

俺以外の声が飛んできたので視線を向けると、
「よっ!」

アズにぃだった。

*゚。桃護Side。゚*END