明るいのに、何故だか頭のうえで星がくるくると回って見えた。

「大丈夫?

何か、すごい音がしたけど…」

心配そうに声をかけてきた石楠花先生に、
「あー、大丈夫っす…」

俺は手で鼻をおおった。

石楠花先生がぼやけて見える。

こんなのはよくあることだが、今日はかなり重症みたいだ。

「きゃっ!」

石楠先生が悲鳴をあげた。

「どうしたんですか?」

そう聞いた俺に、
「鼻血…」

そう言われて見ると、鼻をおおった手に生温かい感触があることに気づいた。

確かめて見ると、鼻血だった。

石楠花先生はバッグからハンカチを取り出した。

「はい」

「いや、いいっすよ」

俺が断ったにもかかわらず、石楠花先生は俺の手にハンカチを持たせた。