アズにぃのヤツ、後で覚えてろよ?

「お邪魔しましたー」

玄関から石楠花先生の声が聞こえてきた。

「ほら」

リコ姉ちゃんが促してきたので、
「わかったよ、全く…」

俺はリコ姉ちゃんに追い出されるように、リビングを後にした。

「すみません、送って行きます」

靴を履いている石楠花先生に声をかけたら、
「あっ、すみません」

彼女は申し訳ないと言うように頭を下げた。

逆に気を使われたじゃねーか。

心の中でリコ姉ちゃんに毒づきながら、
「それじゃあ、送って行くから」

俺はリコ姉ちゃんに声をかけると、石楠花先生と一緒に家を出た。

外に出ると、さわやかな夜の風が吹いていてもうすぐで夏がくるんだなと俺は思った。