早いもので、暦は6月に入った。

その出来事は、6月の最初の土曜日に起こった。

その日は父さんと母さんは町内の集まりに出かけていたため、俺とリコ姉ちゃんが2人で店番をしていた。

「ヒマだなー」

そう言ってリコ姉ちゃんがあくびしようとした時、
「あのー」

誰かがきた。

「いらっしゃい」

それまで退屈そうにしていたリコ姉ちゃんがあいさつをした。

全く現金なものである。

俺は気づかれないように息を吐いた。

「ほら、モモちゃんも」

リコ姉ちゃんに肘でわき腹を突かれた。

何で突かれなきゃいけないんだよ…。