姉弟道

映画館を出ると、
「映画、おもしろかったね」

樫野が話しかけてきた。

それに答えることなく、俺は黙って歩いていた。

当の樫野は楽しそうに、今見たばかりの映画の話をしている。

何がおもしろかったんだよ、俺はずーっとイラついていたって言うのに。

「――あのさ」

そう言って、俺は樫野の話を止めた。

樫野の顔を見ると、
「もう、俺のことをあきらめてくれない?」

俺は言った。

「今日限りで、本当にあきらめてくれない?」

そう言った俺に、
「――無理よ」

樫野は呟くように返事をした。

その言葉に、俺は聞き返したくなった。