つま先立ちの恋

瞬間、吐くことも吸うこともできなくなった息が止まる。その一番近い場所で明人が軽く目を伏せた。

たったそれだけの小さな空気の振動が俺の目を引き寄せるまで、さほど時間はかからなかった。そしてそこに待つのは満足そうに微笑むこの男。


「その様子だと、知らなかったわけでもなさそうデスね」




―……………岡田明人。




全くロクでもない男だよ、お前は。


だが、そんなお前に唆されてこんな所まで来たのだから、全くロクでもない。




俺も、…………―「お前も」。