つま先立ちの恋

「お遊びがすぎるぞ」

「ですから…何のことです?」

「子どもを連れてくるような場所じゃない」

間違えるな、明人。今お前の隣りにいるそれはお前の女じゃない。

「だけど冬彦サン、連れて歩くならそれなりの格好をさせろって言ったデショ。いつだったかな?」

首を傾げながら言うその目は俺の出方を尚も試すように、楽しむように色を変える。


―…………クソッ!
だから嫌なんだ、この男は。

隠すまでもない感情が面(おもて)を走る。

すると、男は目の前の女の肩に軽く手を添えて言った。

「そんなに心配なら目の届く所に置いておけばいいのに」

そこで女は初めてその男を振り仰ぐ。後ろに立ち、自分の肩に手を置く油断も隙もないその男を。けれどすぐに俺を振り返り声を発した。

「あ、あの、フー…!」

その声を隔てるように動く明人。女の前に歩み出て壁となり、いとも軽く俺の耳に近付くとこう言った。





「これが彼女の3年後ですよ」