「……和泉、」

「いいってもう。謝んなって。俺が情けなくなるだろ?」

ハハッ、と渇いた声で笑って和泉は机から降りた。着地した靴の裏がタン!といい音を鳴らす。

「わかってた。むしろ思い知らされたっつーの。ほら、夏休み一緒に映画観に行ったろ?あん時お前、つまんねぇって言ったろ」

「う…えっと、あれは…」

「いいよ、何も言わなくて。正直俺も同じ気持ちだった。せっかくお前と二人になれたっていうのにさ、俺も全然楽しくなかったんだ。で、考えてわかった」

「…何が?」

「俺、笑ってるお前が好きなんだ」


……………え、、、


あまりにも自然に、あまりにも当たり前のことのように口にするから、顔を赤くすることもできなかった。そうしたら和泉は、

「んな顔すんなって」

そう言って、少し苦しげに眉をひそめながら笑った。