私は首を振る。おっと、危ない。また壁に頭をぶつける所だった。これ以上頭をぶつけたら頭の形が変形しちゃう。脳みそ出ちゃう。

「いい、大丈夫。自分で帰れるから。一人で帰れるから。これ以上フーに迷惑かけられないから！」

「お前、本当に今更だな。散々今まで迷惑をかけておいて…」

「だから反省してるんだってば。一人で帰れます！」

すると、コツコツと足音が迫ってきた。と、思ったら…

「いいから乗れ！」

グイッと腕を掴まれた。その力強さに体の向きが反転する。フーの顔がすぐそこにあった。

「お前がここに残る方が迷惑だ」

怒った顔もその怒鳴り声もいつもと同じなのに。言ってる言葉だっていつもと同じ、すごくヒドイて優しさのカケラもないのに。


私の胸がきゅうって鳴った。