つま先立ちの恋

振り返る。声がしたと思われる方向を。そして考える前に私は歩き出していた。


声が段々と形になっていく。私が近付いてる証拠だ。


「やっだぁ、汚い!」

「ちょっとやめなよぉ、こっちの手が汚れちゃうじゃん」

「んじゃ、足か?」


聞こえてくる会話。それが私を走らせた。


「あはっ、あんた何様のつもりぃ?」

「いいねぇ、女王様って感じ?」

「ウ~ケ~るぅ~」


………………ここだ!


「自慢の顔が台無しだね、ヒカルちゃん♪」



――…………ガラッ!