つま先立ちの恋

「………なに?」


笑い声だった。
それも一人じゃない。


私は声が聞こえてきたと思われる方向を振り返る。


また聞こえた。
今度は笑い声に続いて何か言ってるみたいだけど、何を言ってるかまではわからなかった。


誰かいるんだ。珍しいな。


別に誰かいてもおかしくはない。現に私だって用もないのにここにいるし。同じようにたまり場として使ってる生徒なんて他にもいるんだろう。


なんて思ったんだけど。


部屋に入ろうとして、私は足を止めた。止まってしまったんだ。



笑い声に続いて確かにその名前が聞こえたから。