つま先立ちの恋



それからしばらく何もない日々が続いて、荒かった私の鼻息も収まってきた頃だった。

仕方がないから新しいジャージを買った私。くっそ~、今月のお小遣い、これでピンチじゃん。しばらくは帰り道のドーナツも我慢しなきゃだな。

なんて私が落ち込んでいたら、葵ちゃんから神の一声が。

「昨日から百円セールやってるよ」

「マジでっ!」

それが釣るの一声ってヤツ(釣るって漢字これであってる?)。私たちは帰りにドーナツ屋に行くことになった。

だけど、葵ちゃんは山へ芝刈りに…じゃなかった。部活のミーティングがあって、パペちゃんも予約してた本が図書館に返却されてきたとかで、私は一人、教室で二人を待つことに。

そうしたら目敏い担任に見つかっちゃって、用事を言いつけられた。て言っても力仕事なんだけどね。てかさ~、仮にも女の子に力仕事言いつけるってどういうこと?!

教室にいたらまた見つかるだろうなと思った私はクラブハウスで待つことにした。教室へ戻って鞄持って、二人にはクラブハウスで待つと簡単なメールを送る。これでヨシ、と。

パタンとケータイを閉じてクラブハウスへ向かう途中、ヒソヒソ声で会話をする女の子たちとすれ違った。