「あの人にもフーが会社に行かないように見張ってろって言われたの」

それを聞くとフーは、

「余計なことを…」

横を向いてぽつりとこぼした。眼鏡のフレームが邪魔でフーの瞳の様子が見えないけど、フー、どことなく、やっぱり、いつもと違う?

私がフーの顔をのぞきこもうと腰を曲げると、フーはすぐにこっちを向いて、

「退け。」

「だからダメだってば。絶対どかない。言っておくけど私、たぶんフーより腕力あるよ。腕相撲とか男子に勝っちゃうくらいなんだから」

そう言って力こぶしを見せつける。おまけに鼻息もね。

フーは呆れたのかため息をひとつ。

「自慢になるか、そんなこと」

「違うよ。力では負けないよっていうアピールだよ」

なんでそうなるかなぁ、フーは!