振り返ったフーが、まっすぐ私を見た。その目にハッとなる。

初めて見るフーのような気がした。


それからため息をついたフーは歩き出して、ベッドの上にあったスーツに手を伸ばす。

「俺とお前がいくつ離れているか知ってるか?」

「えっ? あ、えっと12です!」

見とれていた私。慌てて答えたら声が上擦った。

「そうだ。この年の差はこの先何があろうとも変わることはない。俺はいつだってお前より先を歩いている。そして多くの経験を積んでいる。12年分な」

スーツを手にしてこっちに歩いて来るフー。距離が縮まる分、心臓の音が大きくなるのがわかる。

「俺は立ち止まるつもりはない」

そう言ったフーは、私の知らないフーだった。