つま先立ちの恋

「開けるよ………?」

今度はゆっくりドアノブを回して、ドアが開きますよーってフーに教えながら慎重にドアを引いた。そうしたらまたフーの背中と目が合った。

真っ白なシャツだ。

ただそれだけでドキドキが加速していく。


私は閉じたドアの前に立って、フーの背中に話しかける。

「あの、、、えっと、具合、大丈夫? ごめんなさい。心配で、、、つい」

自分でも驚くくらい言葉が出てこない。それもそのはず。フーと会うのは7月のあの日以来だ。

こっちを見てくれないフーにはもしかしたら、私の小さな声は届いていないのかもしれない。

そう不安になってしまうほどフーは私の存在を気にもしてくれない。

だけど、言わなくちゃ。
でなきゃ私がここまで来た意味がない。