つま先立ちの恋

話したいことがたくさんありすぎて何から言えば、何て言えばいいのかわからない。しまった。

私は黙り込んだままフーを見つめることしかできなくて、だけどそんなフーと目が合ったと思っていたのは私だけだったみたい。


「勝手な真似をするな」

「冬彦サンこそ、寝ててください」

話しかけたフーに答えたのは明人さんだった。私は自分の後ろから聞こえてきた明人さんの声を振り返る。

するとフーはため息を吐きながら歩いてきて、

「水を取りにきただけだ。それにお前が部屋にいると思うとオチオチ寝てらいれるか」

「心外だな」

明人さんは楽しそうに笑って冷蔵庫から飲みかけのペットボトルをフーに差し出す。フーは疲れた顔でそれを受け取る。

その間、フーは一度も私の方を見ようとしなかった。明人さんと並んでいるのに。一度も。