そんな私たちに気付いた葵ちゃんはハッとなってくぅっ!と悔しそうな顔になる。恥ずかしそうに頬を膨らませる。全く可愛いなぁ。

「それより大事件よ、灯歌ちゃん!」

葵ちゃんを眺めながらニヤニヤしている私たちの手首を掴むと、真っ赤な顔を隠すように葵ちゃんは空き教室を探して歩き出した。

なにせ昼休みだから人のいない教室を探すのは大変だった。結局、使われていないクラブハウスまでやって来てしまった。

最後に部屋に入った葵ちゃんが後ろ手でドアをしめた時、その顔はとても神妙な物になっていた。