長い振り袖をきちんと畳んで膝の上に置いて…

私が黙々とそんなことをしていたら、運転席のお父さんが笑った。

「何をそんなにはりきってるんだ?」

私はぷいっと窓の方をみる。一応反抗期なのよね。

だけど、これくらいでめげないんだな、うちのお父さんは。わりとしつこいの。

「それにしても、どうして急に晴れ着なんか? 去年はあんなに嫌がってたのに」

お父さん、去年までの私と一緒にしないで。私だってもう16歳なんだし、日々成長期なの。あっという間に大人の仲間入りしちゃうんだから。

なんて、口には出さずに目で睨むと、お父さんは肩をすくめて笑った。