この部屋は私とフーが初めて出会った思い出の場所。

何でも昔、フーのお父さんが使っていた部屋だとかで、今はもう誰も使ってない。てゆーか、誰かが暮らしていたなんていう名残もなかった。

私が小さい頃はまだ物置か何かに使われてたのか、ここにはたくさんの箱が置かれてあった。その中のひとつに私が隠れてて、フーに見つけてもらったんだよね。

だけど、見渡す部屋に家具と言えば窓際に置かれてある、膝くらいの高さの棚があるだけ。もちろん、中は空っぽだし、窓には一応カーテンが付いているけれど、ここには勉強机さえない。


こういう感じで使われていない部屋がこのお屋敷にはたくさんあったけど、フーが一息つくのはいつだってこの部屋だった。やっぱり、お父さんが使っていた部屋だから、かな。聞いても教えてくれないから、想像だけど。


でも、私にとってこの部屋は間違いなく特別な部屋で。

いわゆる、私とフーの秘密の部屋って所かな。

私とフーがここでこうしてるなんて、きっと誰も知らないもん。