夕暮れ行進曲

 ずっとその手を離すな!と叫びたいほどに立花の手は暖かく、柔らかかった。

「で、何処行くの?」

「もうすぐ着くよ。」

 立花が足を止めたのは理科室の前だった。この時俺があらぬ想像をしてしまったのが自分でも恥ずかしい・・・

「え・・・・理科室って・・・?」

「連れてきました~。」

 立花は理科室のドアをためらわずに開けて誰かに呼びかけた。
奥から出て来たのは生物の松重先生だった。

 松重先生はたっぷりと顎に蓄えた白髭を指で弄びながらよろよろとやってきた。