夕暮れ行進曲

 「先輩は好きな人とかいるんですか!」

 一瞬よくわからなかった。でもその言葉を心の中で反芻すると、心臓が高鳴りだした。

「え」

 俺はさっきまでの寒さなんて忘れるように顔が熱くなるのを感じた。

 これはあれだ。あのパターン。
ここで「いないけど。」と言ったら、次に坂井は絶対にあの言葉を言うだろう。

 こんな経験はもちろん無い。卓球部なんてモテないし、まして今は帰宅部だ。