夕暮れ行進曲

 ポマードはまだ一言も話さない。教壇に教材を放りなげるように置いてから、やっと顔を上げる。

「前回の課題、やってきたか?」

 生徒は無言だ。

「やってきた奴は持って来い。」

 一斉にガラガラと椅子を引く音が響く。俺も立ち上がる。
しょうもない漢字練習をしたノートを出す。

 椿もちゃっかり出した。三井も矢野もちゃんと出した。
俺は席に戻って頬杖をつく。

 一単語につき百回、練習するのだが俺は90回しかしてない。
これまでもそうしてきた。
あのポマードが一字一字数えるようなことはしないだろう。