教室に入るとなぜか人がいた。
「っあ…。…渡辺クンどうしたの?」
そこには渡辺クンがいた。自分の机に近寄りながら聞くと
「先生が話があるらしくてね。待ってるんだ。広瀬サンはどうしたの?」
と逆に聞き返された。
私は机を覗きながら
「ん?…えっと、忘れ物があって…。」
と答え、また探り始めた。でも、なかなか見つからない。
「大丈夫?何探してんの?」
「んー…携帯なんだけどねー。…たしか、ここに入れたはずなんだけど…。」
「どれ?俺も探すよ。」
そう言うと、渡辺クンは私の横にきて、一緒に机の中を覗き込んできた。
触れるか触れないかの距離。
私の胸は聞こえちゃうんじゃないかってぐらいドキドキで…
多分顔は真っ赤だ。
それにしても、さっきから渡辺クンから視線を感じる。
私が「ん?」と振り向くと…
一瞬なにをされたのか分からない。
私の頭の中はパニック状態で。
でも、息が苦しくなると何をされてるのかが分かってきた。
必死に離れようとするけどやっぱり男の人には勝てなくて。
とうとう限界がくると
「ん…んーー…」
と、出したくもないのに変な声が出た。
すると、渡辺クンが離れた。
「はぁー…はぁー…」
やっと、離れると、呼吸が乱れて、苦しかった。
「ごめん…。こんな事するつもりじゃ…。」
渡辺クンがうつむきながら謝ってきた。
けど、これは、私の初めてのキスで…。こんな形で終わるなんて…
「…どい…。」
渡辺クンは顔をあげた。
「ひどい!!初めてだったのに…。」
涙が止まらなくて、そのまま走って学校をあとにした。