昼休み。私は外を見ながらあることを考えていた。
「ふぅー…。」
私がため息をついた瞬間
「何見てるの?」
渡辺ｸﾝが話しかけてきた。
「え。あ、外見てた。」
って、見りゃわかるような返事をしてしまった…。
「そりゃ、外しかないよね。」
渡辺ｸﾝも苦笑い…。
私バカだ…。
「あ。あぁ。ごめん。いや、別に何も見てなかったんだけど、ちょっと考え事してて。」
「何考えてたの?」
「え。んとね、私、恋ってしたことがないの。だから、恋ってなんだろうなって。」
今日初めて会った人にここまで話す奴はいないだろうけど、なぜだか、口が止まらなかった。
「恋かぁー。とにかく人を好きになることじゃないかな?」
渡辺ｸﾝもそうのしか言えないよなぁ。
「そうなんだ。…ごめんね。変な事きいちゃって。」
「いいよ。でも、広瀬ｻﾝって綺麗なのに付き合ったことないんだね。」
え…。綺麗?
一瞬にして私の顔は真っ赤になった。
「えっ。綺麗じゃないよ。…まぁ、好きな人っていうのが今まで出来たことがないから。」
「まぁ、そのうちできるでしょ。応援するね。」
渡辺ｸﾝは笑顔で言ってくれた。
優しい人だなぁ…。
「ありがとう。」
私がそういうと、渡辺ｸﾝは次の授業の準備を始めた。
そして、私はまた外を見つめ
「はぁー。」
と、ため息をついた。

放課後...
私は沙希と一緒に帰った。
帰り道、私はあることに気付いた。
「…え…。ない…。」
かばんに入ってたはずの携帯がない。
「ん?どうしたの?」
沙希が不思議そうに私の顔を覗き込んでくる。
「携帯がない。…学校に戻って探してくるね?」
「…え。じゃぁ、うちも行くよ?」
「いいよ。大丈夫。沙希は先に帰ってて?」
「う…ん。本当に大丈夫」
「大丈夫。じゃぁ、見つかったら報告するねー。」
「うん。じゃぁ、あとでね?」
「分かった。ばぃばぃ。」
沙希に向かって手を振り、私は来た道を戻った。