「何が安心してなの!?今の状態で安心できないんですけど。」
「いいから。少し黙ってなさい。…じゃぁ、お願い。」
「かしこまりました。それでは、こちらへ。」
店員さんが私を奥へと案内した。
「っへ?あ…はぃ…。」
「では、こちらでお待ちください。」
店員さんは私の服を選び始めた。
「こちらはどうでしょうか?」
持ってきたのは、淡いピンクのワンピース。
「かわいい…。」
「それでは、こちらを着てみては?」
「え。でも、似合うか…。」
「お客様なら似合いますよ。」
店員さんの殺し文句。
やられた。すっかりその気になってしまった、私はやっぱ単純?
結局、それにした私は着替えはじめた。

数分後...
「お客様。」
「あ、はっはい。」
私の呼ぶ声が聞こえ、出ると、目の前には充がいた。
「お似合いですよ。」
これがもし、お世辞でもうれしい言葉だ。
恥ずかしくなって、うつむいた。
「どっ…どう?」
一言もしゃべらない充に一応、聞いてみた。
「馬子にも衣装だな♪」
なんて。
まぁ、期待はしていなかったけど、こうハッキリ言われると、
ショックな私。
「う…うっさいわね。じゃ、着替える。」
私が戻ろうとしたら
「おっと、待て待て。」
と、私の腕をつかみ、止めた。
「な、何よ!?」
「これからがお楽しみだぞ?」
「っは?てか、これ着替えた意味あんの?」
「あるある♪これ、俺からのプレゼントだし。」
「っへ?これ、明らかに高いでしょ。」
子供が何言ってんのよ。
こんな高いもの買えるわけがない。
「だーかーらー、さっき言ったでしょ?俺、一応お坊ちゃまなんだって♪」
「え。…あぁ、確かそんな事言ってたね。」
お坊ちゃまなんだ。そんな話聞いてなかった。
「で。お楽しみって何?」
「そう慌てるなって。」
「いやいや慌てるとかの問題じゃないし。」
「いいから来いって。」
充は私の腕をつかみ、お店を出て行った。
「お勘定は?」
「もう済ましてる♪」
「っへぇー??」
「何だその声。」
何者なんだこいつ!?

ここから私たちは距離がぐっと縮んだね。
今考えると、面白かったな。