放課後。
私は早くアイツのそばから離れたくて、急いで沙希の元へ行った。
「帰ろっ。」
すると沙希は不思議そうな顔で
「あれ?朝言ったじゃん。今日はタクと帰るの!!」
タクとは沙希の彼氏。
朝なんて全然意識なくて沙希の話なんて聞いてなかった。
「聞いてなかったのぉ!?…まぁ、そういう事だから。
じゃぁねｗお先にぃ～～。」
そう言って沙希は教室を出て行った。
「はぁ～。」
仕方ない。今日は一人で帰ろう。
そう思い教室を出て行こうとすると、
「ねぇ。ひ・ろ・せ・ｻﾝｗ」
アイツの声だ…。後ろに振り返ると
やっぱアイツだった。
「何?」
「冷たい言い方ですね。…ちょっと話があるんです。いいですか?」
珍しく敬語だったから、謝る気にもなったのかって思った。
…けど、そんな事あるわけなんだって。
アイツが教室じゃなんだからって私を屋上に連れ出した。
「で。何?謝る気になった?」
「ッフ。」
アイツは笑ってる。
「っは?何?」
「謝る?んなこと俺がすると思ってんのかよ。」
この言葉はこの人の口から出てるんだよね?
今までこんな口調をしてなかっただけに逆に私が焦ってきた。
「何言ってんの?」
「だから、俺は別に悪いって思ってないけど?」
もしかして、コイツは二重人格!?
「もしかしてさ、アンタって二重人格なんてこと…」
「もしかして?そりゃ見れば分かんだろ。」
「ハハハ。そうだよね。」
「お前も変わんねーと思うけど。」
ッハ?何言ってんの?私が二重人格だと?
「私のどこが二重人格なの?」
「んとね。…まぁ、とにかく二重人格。」
なんだその曖昧な答え。
てか、流れで忘れてた。
「てか、何しに私をここに連れてきたわけ?」
「あ。そだった。」
アイツがポケットをゴソゴソし始めた。
「これ。」
「っあ。」
それは私の携帯。
「ほれっ。」
「ありがと。」
私は携帯を受け取ると
「あ、このため?ありがと。じゃぁ、用は済んだでしょ?
帰るね。」