好きだけじゃダメ?!

「おっと!」

そんな声とともによく知った香りに包まれた

キャーキャーという女性特有の声が聞こえる

ずっと、取り巻き引き連れて遊んでいたのだろうか


「ご、ごめんなさい」


慌てて瑛士から離れた


「髪、グチャグチャ」

せっかく離れたのに手を伸ばされ瑛士は私の髪を手櫛で直すものだから
冷たい視線が私に集中する


「あれ、絶対狙ってたよね~計算高い女」

そんなことまで小声で言われた

計算でこんなことはできないと思う
っていうか計算で行動するなら身だしなみは整えたいと思うのが女心ではないだろうか・・・

「大丈夫です。自分で直せますから」

そう言って私は瑛士からまた一歩距離を離す


そうしたら今度は瑛士からの視線が痛い

痛すぎる視線から目をそらし下を向いて瑛士たちご一行様に道を開ける


その瞬間

「瑛士く~ん。行きましょう。私次あれ乗りたい」

そう言いながら
瑛士の腕を組む女

そう、バスで私の席に座っていた女だった

瑛士は嫌な顔もしないで

「はい。」

そう言って歩きだす。

その後ろをファンが付いていく

香織も付いて行きたそうで先に行っててというサインのつもりでウインクで合図した。