好きだけじゃダメ?!

慌しく数日が過ぎた。


これは全て瑛士の会社から届く注文のFAXのせい。


先輩(うちの社長)は『この不況にありがたい』なんて凄く暢気。

忙しさのお陰で同僚からの嫌味を気にする暇さえなたった。

陸からはメールはくるけど、返す暇がなく夜まで放置がほとんだった


いよいよ、明日は瑛士の事務所のパーティーが開かれる夜を徹しての作業は続いていた。

うちの会社の社運が掛かっているので社員総動員。

先輩も珍しくジャージに着替えて頑張ってる姿に少し笑えたりした。



私の描いたイラストが形になっていくのはうれしかった。


あとは招待された方に送るブリザードフラワーの小さなコサージュが会社から持ってくるだけとなった。


「美歩、アンタの内職の成果が届いていないけど
まだ終わってなかったら殴るよ。」

先輩の声がする


「もう届きます。
・・・・ほらね」

ダンボール箱三箱分



「あの・・・美歩さん・・・足りなかったんですが・・・・」



「え?何が?」


「数が6つ程・・・」


「・・・・・」


私は6つと言う言葉にハッ!とした。

瑛士の家だ。

間に合わなくて家で作って・・・・


絶対そのまま忘れた!



「あ!!!ごめん。家だ・・・・。
これから取りに・・・・」



その時だった



「忘れん坊の美歩さん。」



その声に振り返ると瑛士が紙袋を持って立っていた



「お前家に・・・・・」


変なことを言う前に私は瑛士の口を手で塞いだ