隣には女の子(いや年上かもしれないし年下かもしれない)。後ろには、サングラス二人組。四方八方から人のじわじわとした目線。

風で木が揺れる音や、ミンミンゼミの鳴き声までもが、俺達を色眼鏡で見てるような感じがする。

女の子もまるで、周りの様子を俺と同じように感じているのか、少し背中を丸めて下向き加減に歩いてる。

正面玄関までの道を歩きながら、俺はちらちらと彼女の様子をうかがってみた。

さらさらとした青い髪の毛を水色の丸い飾りが並んだゴムで首の辺りで二つに縛ってる。

銀色の淵がついた眼鏡をかけていて、そのレンズ越しには凛とした目が見える。顔立ちもなんだか大人っぽい。でもどこかに幼さがるような。

身の回りの女子とは対照的に、膝が隠れる程度の長いスカート。


「あの…。」

すると、突然その女の子に声をかけられた。それに驚いた俺は急いで視線を顔にずらした。

「えっ! あっ…あのっゴメン! ジロジロ見て……。」

「え、あっそういうことじゃないんです…。こんな変な外見なら妖しく見られても当然なので…。」

「いやっ! 別にそんな変だとは思ってないよ! むしろ、素敵だ!」

「えっ?」

「あーっ! あー…いや…。」


すっかりテンパってる俺。自分でも何言ってるのかよくわからないぜ……。

「すみません…。本当に……。」

すると、女の子はシュンとして俺に謝った。

「えっ、別に謝らなくても……。」

「でも、私のせいであなたがあんなに不信に見られてるみたいで…。」

「えっ……。」

「ほら、生徒の皆さんが刺すような目線で私たちを見てて、あなたもきっと不快じゃないかなって・…」

「いや、別に不快だとは思ってないよ。ちょっと変な感じするけどね。でも、あなたのせいじゃないから。」

「えっ…。」

すると、女の子はすっと顔を上げて俺を見た。よし…俺に不信感は抱いてないみたいだ。