「ハァ…ハァ…ハァ…。つ…疲れた…。」

数分後、俺は汗を体全体からたらしてゼエゼエに息切れて学校にたどり着いた。
全速力で走ってたけど、やっぱり今日のあまりにもの太陽の暑さに体力を奪われて、ユイカを抜かすこともできずヒバリも抜かされ
(トオルは今まで誰も抜いたことがない)結局俺はビリになっちまった。

そのまま俺は息を切らして、昇降口の正面にある足を洗う水道の上に座り込んだ。

フーっ と息を吸い込み、そのまま一気にハーッ! と吐き出して額の汗を左手で拭い、校舎に入ってからあの3人に何と言うか考えた。
いや、マジで今小遣いピンチなんだよ………。ハァ。

すると、学校の木で五月蝿く鳴いている蝉の声の中から、聞き覚えのない音が聞こえてきた。

「っ!!!」

俺は驚いて水道から立ち上がり、音のするほうを見た。他のまだ校舎に入っていない生徒達もその音に気着いたらしく、辺りがざわめきはじめた。
すると、門から突然黒い車が学校に入ってきた。

学校にいきなり車が入ってきたことよりも、俺達はその入ってきた車に驚いている。

普段この島に車なんかが入ることなんてまず、ない。俺もたった今、初めて都会以外で生で車を見た。

ここにいる生徒もほぼ初めてだろう。金淵島にも通ってるのは見たことない。

俺はその車の近くによってみた。ビリになったことでこんな貴重な物が見れるとは思っていなかった。

蝉の声と生徒達のざわめき声の中で車が止まると、車のトビラが開いた。

そこから、この学校の制服を着た女の子と、この暑い中黒いスーツを着たサングラスの男が二人出てきた。

その女の子はちらちらと辺りを見回して、ふと俺と目があった。

「あ・・・・。」

思わず声が出てしまった。女の子と生徒の視線が俺に向く。

「あの…。正面玄関まで、つれてっていただけませんか?」

そして、その女の子は落ち着いた女の子らしい声で、俺に問い掛けた。