「ファイ様に近寄る人はいても近寄らない人は今までいなかった」




静かな広い廊下にチトセの凛とした声が響く…




「ましてや、あんなに可愛らしい子だもの。ファイ様が黙っているはずがないでしょう?…でもファイ様は……」




手を小さく握り胸元にあて黙り込むチトセ




「…」




バルドはそんな彼女に静かに歩みより



頭を優しく撫でた




「あいつは、不器用なんだよな…」




チトセの考えを呼んだかのように言うバルドにチトセは




「うん、」




と素直に相づちを返した